ヒロ
自身のスポーツ活動を通して感じた問題意識やスポーツ・健康に関する情報発信を行っています。 日頃は、教員をしつつスポーツ科学に関する研究を行っています。 スポーツや健康に関するライター依頼お持ちしております。 ご連絡は以下まで athport.hiro@gmail.com
スポーツニュース

戦後初の夏の甲子園大会中止 代替大会開催に向けて解決すべき3つの障

Pocket

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、5月20日に日本高等学校野球連盟は第102回全国高等学校野球選手権大会の開催中止を決定しました。

夏の甲子園大会が中止になったのは、1941年以来69年ぶりの出来事。戦後では初めての中止になります。

この決定には、当事者の球児たちはもちろんのこと、プロ野球選手や芸能人などからも落胆の声も上がり、中には甲子園大会に代わる新たな大会の開催を望む声も見受けられます。

とはいえ、代替大会を開くとしても様々な障壁が存在し、開催に漕ぎ着けるのは一筋縄ではないでしょう。

関連記事

【2020年度】コロナの影響で夏の甲子園が中止!?地方大会の開催は?

代替大会開催に向けて解決すべき3つの障壁(見出し1)

多くの球児たちが目標として練習してきた甲子園大会が開催中止になった以上、代わりの大会を開こうとするのは当然の動きです。

ただ、代替大会を開くためには大きな障壁が存在するのも事実。

その障壁を解決しない限り大会を開くことはできないでしょう。

考えられる大きな障壁は3点あります。

【障壁①】感染リスク

まずは感染リスクの問題です。

無観客での実施を前提とするにしても、一つの会場に最低でも2校、人数として40人以上が一斉に集まるため、感染リスクをゼロに抑えることは不可能に近いでしょう。

たった一人でも感染してしまえば、そこからクラスター感染が発生する非常に可能性が高く、球児だけに留まらず監督・コーチなどのスタッフの健康が脅かされることとなります。

野球はサッカーやラグビーなどと違い、体の接触が少ないスポーツであり、競技自体による感染リスクは比較的少ないとはいえ、感染対策をどう講じていくかは大きな課題と言えます。

【障壁②】大会開催費用

次に考えなければならないのが、費用の問題です。

大会を開催しようとすれば、球場の使用料や試合で使うボール代などの競技自体をするために必要な費用に加えて、審判や医療スタッフ、球場の警備員といった人件費も発生します。

これまでは、その費用の多くを入場料収入で賄ってきましたが、代替大会は無観客での実施が予想されます。

経済的に余裕がある都道府県では赤字覚悟で開催することができるでしょうが、経済的に余裕のない都道府県は入場料を得られなければ開催が困難になります。

そのため、入場料に代わる新たな財源をどうすれば生み出せるかを考えていく必要があります。

【障壁③】学業との兼ね合い

感染リスクを抑え費用の問題をクリアしたとしても、まだ解決すべき障壁は残されています。

それは、学業との兼ね合いです。政府は、3月に全国の小中高校に対して5月末までの休校指示を行いました。

そのため各校は、授業時間を確保するために夏休みなどを短縮して登校日や授業時間を増やそうとしています。

代替大会を開くことは、その流れに逆行し、学業に支障をきたしかねません。

もともと、スポーツ推薦を多く取り授業時間よりも練習時間に多くを割いている強豪校などは、影響をそれほど受けないとはいえ、大会に参加するのは強豪校だけではありません。

むしろそういった高校は少数派でしょう。

ただでさえ少なくなっている授業時間に影響を与えないような開催スケジュールを組む必要があります。



代替大会開催に対しての日本高等学校野球連盟の反応(見出し2)

夏の甲子園大会中止を決定した以上、日本高等学校野球連盟(以下、日本高野連)が主催となっての代替大会は開催しないというのが日本高野連のスタンスです。

しかし、中止を発表した記者会見で、

「各都都道府県連盟が代わりの大会をした場合、感染リスクや費用などはどうするつもりか」という記者の質問に対し、

日本高野連の八田会長は、「(感染対策を含めた)ガイドラインがあり、相談に応じていこうと考えている。限界はあるかもしれないが、財政的な支援もさせていただく」と発言。

代替大会開催を決定した各都道府県連盟への協力は惜しまないことを強調しました。

日本高野連が主催の大会は開かないが、各地方の高野連が代替大会を開く場合は費用面を含めたサポートをするというスタンスを取っているようです。

関連記事

コロナの影響による部活動(クラブ活動)は今後どうなる?

代替大会開催を検討している都道府県(見出し3)

日本高野連の発表を受け、すでに代替大会開催を検討している都道府県連盟も存在しています。

5月22日時点で、代替大会開催の検討を発表した連盟を以下にまとめました。

・秋田県
開催の方向で調整中。6月中には結論を下す予定。

・山形県
開催の方向で調整中。5月28日に会議予定。

・福島県
開催の方向で調整中。5月29日に会議予定。

・茨城県
開催の方向で調整中。

・埼玉県
開催の方向で調整中。

・東京都
開催の方向で調整中。

・長野県
開催の方向で調整中。5月29日に会議予定。

・静岡県
開催の方向で調整中。6月5日に会議予定。

・愛知県
開催の方向で調整中。6月5日に会議予定。

・香川県
開催の方向で調整中。6月5日に会議予定。

・徳島県
7月中旬に開催できるように検討中。5月29日に会議予定。

・愛媛県
開催の方向で調整中。6月中に会議予定。

・大分県
開催の方向で調整中。6月3日に会議予定。

・宮崎県
開催の方向で調整中。6月8日に会議予定。

・沖縄県
開催の方向で調整中。

代替大会開催に向けた障壁はあるものの、以上からも分かるように多くの連盟が開催を検討しています。

甲子園という目標は無くなったかもしれませんが、「救済案」としての代替大会の開催は十分に期待できるでしょう