新型コロナウイルスの影響によって様々なスポーツ大会で国際大会の延期や中止が相次いでいますが、
その状況の中、オリンピック競技の中で最も早く国際大会を再開する競技があることがわかりました。
その競技が、「馬術」です。
6月10日から14日にかけてドイツ・ヴェスターシュテーデで国際馬術連盟( La Fédération équestre internationale:FEI)主催の国際総合馬術大会が開催されます。この大会には日本人から大岩義明選手が出場することが明らかになっています。
スポーツの国際大会が再開されるというのは、スポーツ業界にとって良いニュースですね。しかし、馬術という競技に馴染みが無く、どういった内容の競技か知らないという人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、馬術のルールやオリンピック種目、日本人の馬術界での活躍について紹介していきます。
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馬術とはどのような競技?
馬術はオリンピック競技の中で唯一、動物が出場する競技です。
また、馬術は男性、女性の性別の区別が無く、同じルールで競技が行われます。
男女が同一のルールで区別なく行われるという点でもオリンピック競技の中では唯一の競技です。
現在、馬術は大別すると「ブリティッシュ馬術」と「ウエスタン馬術」に分けられ、それぞれ技術や乗馬スタイルなど異なった特徴があります。
オリンピックなどで行われる競技としての馬術は「ブリティッシュ馬術」を由来としているものがほとんどです。
オリンピックで行われる馬術の種目は?
オリンピック競技としての馬術は、「馬場馬術(Dressage)」「障害馬術(jumping)」「総合馬術(Eventing)」の3種目存在し、それぞれ個人と団体があります。
・馬場馬術(Dressage)
馬場馬術は区切られた範囲の中で、定められた運動や音楽に合わせて様々な動きを行う競技です。
動きとしては軽やかなステップを踏んだり、図形を描くように動いたりと複雑な動作を伴うので、人と馬の息のあったコンビネーションが重要となります。
馬場馬術は、芸術性を問う競技特性や採点方式である点からフィギュアスケートに似ている競技ともいえるでしょう。
・障害馬術(jumping)
障害馬術は競技会場の中に設置された様々な障害物を定められた順序で、ハードルのように飛び越え、規定時間内に走行する競技です。
障害物は複数の形のものがあり、最大のものでは高さ160センチメートル、奥行き200センチメートルのものもあります。
障害物のバーが落下したり、順序通りに飛ばなかったりすると減点対象となってしまうので、いかに素早く正しい順序で障害物を飛び越えていくかが競技の重要なポイントです。
・総合馬術(Eventing)
総合馬術は先に紹介した馬場馬術、障害馬術にクロスカントリーが加わった総合的な競技です。
総合馬術は3日間かけて行われ、1日目に馬場馬術、2日目にクロスカントリー、3日目に障害馬術の順で競われます。
この競技ではすべての種目を同じ人と馬のペアで行うため、どの競技もうまく対応できる技術や体力が必要です。
特に2日目に行われるクロスカントリーはこの競技の最大の特徴で、起伏に富んだコースに設置された障害を超えながらゴールを目指します。
障害は、水濠や竹柵など多種多様な障害が用意されており、世界レベルの大会ともなると最長6キロメートルにもなるコースの中に40箇所以上の障害が設置されています。
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馬術界での日本人の活躍は?
これまでに日本人がオリンピックの馬術競技で獲得したメダルは、1932年に行われたロサンゼルス大会で西竹一選手と馬のウラヌスが獲得した金メダル1つのみです。
馬術はその競技の特性上、馬術を行う環境や馬と親しむ必要があることから、そのような歴史があるヨーロッパ諸国が強豪国となっています。
馬術は年齢の壁を超えてオリンピックに出場することができる可能性が高く、実際に日本人では1964年の東京オリンピックに23歳で出場し、その後、2012年のロンドンオリンピックに71歳で出場した法華津寛選手がいます。
6月10日からドイツ・ヴェスターシュテーデで行われる大会に出場する大岩義明選手は、2012年のロンドンオリンピックでは、総合馬術の1日目に行われる馬場馬術で1位通過しているほどの実力ある選手なので、今回の大会で好成績が期待される選手です。
まとめ
馬術はなかなか日本人には親しみのない競技かもしれませんが、人と動物が人馬一体となって行う、珍しく、面白い競技です。
来年開催予定の東京オリンピックでも行われる種目なので、これまで見たことのなかった人はぜひ注目してみてください。
また、今回の国際大会をきっかけに他のスポーツでも国際大会が開催できるようになると良いですね。