日本のプロ野球は6月19日、当面無観客での開幕が決まりました。
海の向こうの本家大リーグはいつ開幕するのでしょう。
当初、7月4日の独立記念日前後と目されていましたが、開幕自体も危ぶまれる声も聞かれます。
そこには金銭に関わる労使の交渉が立ち塞がっているようです。
新たに加わった日本人3選手や二刀流復活の大谷選手等の活躍を楽しみにしているだけに大変気になるところです。
現時点での労使交渉の行方を追ってみました。
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♦大リーグ球団の収支のしくみ、多額の放映権料&代理人の存在
労使交渉の行方を述べる前に大リーグ球団の収支についてふれておきましょう。
日本のプロ野球との大きな相違点は、それぞれのリーグにESPN。FOXなどの全米放映権料に各球団の地元放送局との契約料の一部が入ります。
それを各球団に分配する方式をとっています。総収入のほぼ半分をその放送権収入が占めている点も大きな違いです。
それは選手のほば年俸分に当たります。そこには多額の金額が動きます。
メディアにはCM料などで多大なパイがあるということでしょう。
しかも年を重ねるごとに契約料が増えているというから驚きです。
従って、ある球団など球場入場者数は減少しているのに、球団に入るお金は増えているというカラクリが成り立ちます。
ケタ違いの高給プレーヤーが誕生するのも頷けます。
そして代理人の存在も大きく物を言っています。
レギューラー選手のほとんどが代理人と契約して、選手の年俸交渉など、強い発言力を発揮しています。
合理的な米国ならではのしくみといえるでしょう。
今回の交渉にも当然、絡んでいます。
♦労使交渉の現状は?
さて、開幕が決定できない要因に労使交渉が壁となって立ち塞がっています。
すでに先に開幕した台湾、韓国そして6月19日に決定した日本のように、経済活動が再開されればすんなり(無観客から徐々に)開幕とはいきません。
大リーグでは前述したように、巨額の金が動きます。
試合が少なくなった分の減収を単純に労使どちらかで補うという訳にはいかないのです。
交渉の経過をみますと、大リーグ機構と選手会は3月下旬、年俸の支払いについて次のように合意していました。
{開幕日(3/26)から60日間は前金(選手個々によって金額が異なる)を受け取り、それ以降は試合数に応じて支払われる。}
と、いう決まりでした。
たとえば、試合が半分しか消化されなければ年俸は半分となり、前金が差し引かれるというものです。
当然、選手側は無観客でも1試合でも多く試合を望みます。
経営者側は3月の時点で開幕はただなる延期で、開幕すれば通常開催できると踏んでいたようです。
経営者側にとっては、無観客では放映権料は入ってきても、球場収入は全く見込めません。
メディア側がすでに契約料を払っているとはいえ、失われたCM料の補填を要求してくるのは目に見えています。
出来る限り無観客試合を避けたいのが本音です。
ここにきて選手側にさらなる減収を要求してきているのです。
選手会側からは「無礼だ」とか「かなり衝撃的だ」といった声が挙がっています。
当然、代理人は「減収には応じるな」と声高に叫んでいます。
あらためて労使交渉の難しさを感じさせます。
減収額も大きいだけに、小回りが利かないといったところでしょうか。
♦「ベースボールは国技」ゆえ開幕はできる
それでは大リーグは開幕できるのでしょうか。
難解の労使交渉ですがいずれまとまるとみています。
根拠は「ベースボールは米国の国技」であるからです。
26日、米メディアは開幕の決まった日本のプロ野球の記事をうらやましい一報として一斉に伝えました。
そこには開幕を待ちわびるファンの心境を代弁しているように思われます。
経営者、選手側の声が大きいようにファンの声も大きいのです。
交渉が長引けばファンが黙っていないでしょう。
現に年俸の一定額を数年後に支払うという提案など挙がっているようです。
労使とも傷みを分かち合い、歩み寄ることは可能です。
呼応するように、政府は外国人入国制限免除を決定し、母国に帰っていた選手も帰国しやすい状況になっています。
各球団も政府の経済活動再開の動きに応じて球団の施設開放をはかり、開幕に向けてのトレーニング、調整をバックアップしています。
こうした報道も開幕への後押しになるはずです。
♦まとめ
大リーグは7月上旬には開幕すると信じています。
ファンのなかには普段観ていない台湾や韓国の野球を観戦しているという人も少なくないそうです。
日本のファンも近いうちに大谷をはじめとした日本人選手の活躍を観られるはずです。
その時を楽しみに待っていたいと思います。